TECHNICAL JOURNAL
画像生成AIのプロンプト実例5選|写真から作るイベント向けデザイン
1枚の海鳥写真から、画像生成AIで水彩画、骨格モチーフ、文字入りポスター、9コマなど5種類のイベント向けビジュアルを制作。完成画像と実際に入力したプロンプト全文、参照画像の使い分け、関連研究を紹介します。
検証環境
- ChatGPT Work の画像生成機能(モデル名は画面で確認できず未記録)
- 生成画像 各1086×1448px、2026-09-25作成
イベントの告知、会場展示、開催後のSNSでは、同じ写真でも求める見せ方が違います。今回は海辺で撮った2羽の鳥を起点に、画像生成AIで5種類のビジュアルを作りました。写真と水彩を二等分したポスターから始め、水彩画、骨格モチーフ、文字入りポスター、9コマの連作へ。同じ被写体の何を残し、何を変えるかを、完成画像と画像生成AIに入力した指示文(プロンプト)で見比べます。
この記事でお伝えすること
- 5つの完成画像と、実際に入力したプロンプト全文
- 元写真とデザイン参考画像の役割、文字の指定方法
- 画像生成の公式ガイドと研究を、仕上がりの確認に生かす視点
対象:イベントの企画・制作・広報で画像を扱う方
目次
写真から画像を作る前に、参照画像の役割を分ける
各案には同じ海鳥の写真を添付しました。前の案で生成した画像を、次の案の入力にはしていません。図1では上下構成、図4では文字組みと印刷表現、図5では9コマの並べ方の参考画像を、それぞれ元写真に加えています。以下のプロンプト中の「1枚目」「2枚目」は添付する順番です。掲載する5点は完成画像で、2枚目の参考画像は掲載していません。ご自身の写真で試す場合は、被写体とデザインの参照をそれぞれ用意してください。参考画像が変われば、仕上がりも変わります。
1. 写真と水彩を上下に配置したポスター
最初の案は、1枚の作品の中で写真と手描きの水彩を組み合わせます。上半分に写真の海辺を残し、下半分には同じ風景を紙に描き直しました。キャンバスを50:50で分け、写真と絵の色を響かせる設計です。

図1 写真と水彩を二等分したアートポスター。
画像生成時に入力したプロンプト
1枚目は被写体となる元写真です。2枚目は望ましい上下の構成と静かな質感の参考です。2枚目をそのまま複製せず、元写真から独立した高級エディトリアル・アートポスターを1枚制作してください。
【全体フォーマット】
厳格な3:4の縦構成。キャンバスを水平に二等分し、上半分50%を写真、下半分50%を手描きの紙のイラストにする。継ぎ目はまっすぐ水平。2領域が一冊の独立系旅行誌の表紙のようにつながる、単一の完成作品とする。
【上半分 ― 写真】
元写真の白い船縁に立つ右向きの海鳥、その右下の奥を飛ぶもう1羽、青灰の海と波、岩場、深緑の樹林、曇天を可能な限り忠実に保つ。鳥の数は計2羽。手前の鳥の黄の脚と船縁の接地、奥の鳥の飛翔と遠近関係を維持する。自然な羽毛、現実的な水面と曇天光、写真固有の静けさを優先する。縦構図に必要な周辺の空や海の拡張は許すが、鳥を伸ばしたり別の姿へ変えたりしない。色補正は青灰と緑を穏やかに整える程度。過度なHDR、CGの光、シャープ処理は使わない。
【下半分 ― 小さなペーパーイラストレーション】
上の写真から、船縁に立つ鳥と奥を飛ぶ鳥、波、岩場、樹林の認識性の高い形だけを取り出し、同じ関係のまま手描きで描く。下半分を塗りつぶさず、中央よりやや下に小さな絵を置き、その上下左右に広い生成りの紙の余白を残す。少し不完全な鉛筆とインクの細線、透明水彩のにじみ、部分的な不透明の面、筆の揺れ、紙の繊維、わずかな色むら。画面上の水彩は、写真の単なるフィルター化ではなく紙に描いた別の作品に見せる。鳥は可愛く擬人化しない。
【色・素材】
写真から抽出した青灰、森の深緑、くすんだ黄、墨色を中心に4色程度。紙は暖かいオフホワイトで、純白のデジタル背景にしない。上下で同じ色を静かに響かせる。
【タイポグラフィ】
文字、地名、日付、ロゴ、署名を入れない。余白を守り、文字は必要になったとき別工程で組む。
【視覚言語】
静か、上質、手仕事、現代の日本のエディトリアルデザイン。写真の記録性と、その記憶を描いた小さな水彩が対話するポスター。1枚のみを出力。
【禁止事項】
鳥の増減や融合、余分な脚と翼、人物や建物の追加、元写真にないイベント設備、半分以外での領域分割、比較グリッド、派手な装飾、漫画調、全面を埋める水彩、3Dレンダー風。
上と下で鳥の関係がつながり、写真と紙の質感の違いが主題になりました。下半分の水彩は指定より広く描かれています。記録冊子の表紙や会場の導入面を想定した案です。
2. 水彩画を一枚の作品として描く
図1の下半分を独立させる発想です。元写真の風景を水彩で描き直し、2羽と海辺の関係を残した一枚絵にしました。招待状や展示の導入に向け、紙の質感と色数を細かく指定しています。

図2 独立した水彩画。招待状や展示の導入に。
画像生成時に入力したプロンプト
アップロードした海鳥の写真を被写体の参照にして、独立した一枚の水彩画を制作してください。写真と絵を並べた比較画面にはしない。
【全体フォーマット】
厳格な3:4縦構成。厚みのある生成りの画用紙に手で描き、丁寧にスキャンした一枚絵。イベントの招待状、会場の導入面、記録冊子に使える静かな作品。
【写真から残すもの】
白い船縁に立つ、白い頭と胸、灰色の翼、黄の脚を持つ右向きの鳥1羽。その右下の奥で翼を広げる鳥1羽。計2羽の大きさと前後関係、脚と船縁の接地、海と波、岩場と深い緑の樹林。種名、地名、日時は推定しない。
【描画の方法】
まず柔らかい鉛筆で鳥と船縁の輪郭を取り、目とくちばしだけを小さく明瞭に描く。透明水彩の薄い層を重ね、にじみ、乾いた筆跡、色の境目の揺れを残す。鳥の白は紙を塗り残して表す。岩場と樹林は大きな形にまとめ、細い枝や葉は少量にする。波は余白と薄い青灰の筆で表す。印刷物ではなく実物の画用紙の原画の質感を優先する。
【構図と余白】
船縁と二羽を中景に置き、上方に呼吸できる広い余白。飛ぶ鳥は小さく、主役の隣で時間の流れを作る。鳥同士の視覚的な距離を保つ。中央に詰め込みすぎず、紙の余白に視線が戻る構成。
【カラーパレット】
青灰、森の深緑、鈍い黄、チャコールを薄く使う。純白や高彩度の青、鮮やかなオレンジを足さない。水彩の透明感を守る。
【タイポグラフィ】
文字、ラベル、目盛り、署名を入れない。
【視覚言語】
quiet, tactile, independent publishing, watercolor on natural paper. 同じ風景を見ていた時間がゆっくり伝わる、控えめで上質な挿画。
【禁止事項】
鳥の増減、脚や翼の増殖、擬人化、写真風の羽毛、全面を埋める濃い背景、アニメ・漫画、額縁や机などの追加、比較ボード。
鳥の白を紙の塗り残しで見せられました。樹林は指定より細かく描かれています。余白を広げるなら、樹林の細部をさらに省くよう指定します。
3. 鳥の骨格をモチーフに展示グラフィックを作る
展示や体験企画では、見慣れた鳥の内側へ視線を向ける見せ方もあります。羽毛の輪郭に骨格線を重ね、身体の構造を想像するグラフィックにしました。骨格の正確さを示す図ではないため、解説パネルに使う場合は専門家の確認が必要です。

図3 骨格をモチーフにした展示用グラフィック。
画像生成時に入力したプロンプト
アップロードした海鳥の写真を被写体の参照にし、「鳥の骨格」を視覚の主題にしたエディトリアル・グラフィックを1枚制作してください。
【全体フォーマット】
厳格な3:4の縦構成。展示会場の導入パネル、自然観察をテーマにしたイベントのアートワークとして成立する一枚絵。科学標本の実測図ではなく、身体の見えない構造を想像させる表現とする。
【残す情報】
白い船縁で右を向く手前の鳥と、右下奥を飛ぶもう1羽。計2羽。手前の黄の脚は船縁に接し、遠くには海、波、岩場、樹林がある。二羽の大きさと前後関係を明瞭に保つ。
【骨格の描き方】
手前の鳥の羽毛と身体の輪郭を薄い半透明で残し、その内側に頭骨、くちばし、首の椎骨、胸郭、翼、脚につながる細い骨格線を重ねる。線を彫版画や精密な鉛筆素描のように、細く静かに見せる。奥を飛ぶ鳥には翼の内部構造を控えめに入れ、二羽の関係を壊さない。線を見やすくするため、海岸の描写は淡い面へ省略する。骨格の真偽や寸法を証明するための図には見せない。
【構図と余白】
手前の鳥を中心より少し左に大きく、飛ぶ鳥を右下の遠景に置く。上部と左側に生成りの紙の余白。骨格線、羽毛の輪郭、船縁、海岸の順に視線が移る階層を作る。
【色と素材】
暖かいオフホワイトの紙、墨色の細線、海の薄い青灰、骨のアイボリー、黄の小さなアクセント。紙粒子と手の線のわずかな揺れ。ホラー作品のような強い陰影は避ける。
【タイポグラフィ】
文字、種名、学術ラベル、目盛り、縮尺、数値、ロゴを入れない。
【視覚言語】
museum editorial, quiet wonder, anatomical motif, tactile print, contemporary Japanese art book. 構造を「見る」きっかけを作る展示グラフィック。
【禁止事項】
余分な骨・脚・翼、鳥の増減、身体から分離した骨格、血や恐怖表現、架空の研究データ、精度を保証する数値、比較グリッド、CGの透視画像風。
背景には海岸の樹林と岩場を残し、羽毛に薄い骨格線を重ねました。観察への関心を促す表現として、イベントの入口や展示パネルに展開できます。
4. 文字を加え、イベント告知ポスターにする
鳥の写真を被写体の参照に、別のグラフィック画像を文字組みと印刷表現の参照にして制作しました。参考画像を複製しないよう指示し、細かな点で濃淡を見せる網点、太い見出し、色面の使い方を指定しています。

図4 短い英語と日本語の見出しを組み込んだポスター。
画像生成時に入力したプロンプト
1枚目は被写体となる海鳥の元写真、2枚目は文字の階層、網点、色面、余白を考えるためのデザイン参考です。参考画像の文章や個別の図像を複製せず、新しいイベントポスターを一枚作ってください。
【全体フォーマット】
厳格な3:4縦構成。写真、タイポグラフィ、印刷の粒子を一枚に統合した高級エディトリアルポスター。複数案を並べたボードではない。
【残す情報】
元写真の右向きに立つ白い頭・胸、灰色の翼、黄の脚を持つ鳥が手前に1羽。白い船縁と接地。右下奥に飛ぶ鳥が1羽。計2羽。海辺と岩場の輪郭はデザインのために省略してよいが、鳥のシルエットは読み取れること。
【写真の処理】
鳥の写真は大胆なトリミングとモノクロ寄りの網点に変える。羽毛の白、翼の灰、脚の黄を識別できる程度の階調は残す。背景の海を深い青の平面に置き換え、部分的な朱色の円形と細い線を重ねる。参考デザインからは大胆な文字組みと印刷粒子という原則だけを受け取る。
【文字の指定】
画面上部に、読める英字の大見出しを一語だけ、正確に「WINGS」と配置。右側に短い日本語を正確に「海と鳥」と縦方向へ組む。見出し以外の文章、ダミーの小さな文字、日付、会場、ロゴは入れない。文字を鳥の目・くちばし・翼の輪郭に重ねない。英語と日本語の文字を最終画像で読み取れる大きさにする。
【構図】
太い文字が最初に目に入り、次に手前の鳥、その後に奥の鳥へ視線が移る。文字と被写体の間に明確な空間を設ける。日程などを後から載せる前提の空白を無理に作らず、この一枚をビジュアル案として完結させる。
【色と質感】
黒に近いチャコール、紙の生成り、深い海の青、蛍光に寄らない朱色。粗すぎない網点、わずかな版ずれ、印刷物の紙目。高彩度のグラデーションや光沢のある3D表面を使わない。
【視覚言語】
independent magazine, graphic system, visual language, event identity. 強い階層と余白を持つ現代の展示・イベントのデザイン。
【禁止事項】
誤字、文字化け、「WINGS」「海と鳥」以外の文字、鳥の増減、実在するイベントの情報、参考画像のコピー、人物や商品の追加、比較グリッド。
指定した「WINGS」「海と鳥」を目視で読めました。日時や会場名を加える際は、生成後に確定した文字を組み、写真と見出しの配置を再調整します。
5. 9コマのカメラロールで動きを見せる
1枚の元写真から異なる瞬間を想像して見せるため、3列×3行の参考画像から並べ方だけを取りました。元写真の鳥を主人公にして、寄り、歩く姿、翼を広げる場面、遠ざかる飛翔へと展開しています。

図5 9コマのカメラロール。SNSや体験の振り返りに。
画像生成時に入力したプロンプト
1枚目の海鳥写真を鳥の姿と海辺の参照にし、2枚目からは同じ主人公を九つの異なる瞬間で見せる「3×3カメラロール」という並べ方だけを参考にする。2枚目の緑色のキャラクターや背景は使わず、一枚の新しい写真作品を制作してください。
【全体フォーマット】
厳格な3:4の縦構成。等幅の3列×3行、合計9コマ。コマとコマの間に狭い白い余白を設け、全コマを同じ大きさにする。スマートフォンの画面やアプリのUIではなく、印刷されたコンタクトシートのような一枚絵。
【同じ主人公】
元写真の白い頭と胸、灰色の翼、黄の脚、黒と赤の先端を持つくちばしの海鳥を、全コマで同じ一羽として扱う。体形、羽色、顔つきの一貫性を保つ。元写真で奥を飛んでいたもう一羽は、必要なコマに小さな相棒としてだけ登場させてよい。鳥を人間や玩具にしない。
【9コマの内容】
左上は白い船縁で静かに立つ鳥。上中央は目とくちばしの寄り。右上は海を眺める後ろ姿。
中段左は船縁を歩く足どり。中央は翼を大きく開く瞬間。中段右は海の上を飛ぶ横顔。
左下は風を受けて見上げる鳥。下中央は黄の脚と船縁の細部。右下は岩場へ向かって遠ざかる飛翔。
各コマに近景と遠景、静止と動き、正面と横顔の変化を作る。同じ写真を繰り返さない。
【世界と光】
9コマは同じ日の海辺の世界としてつながる。青灰の海、白い波、岩場、深い緑の樹林、白い船縁を場面に応じて使う。曇天の自然光、過度な演出をしないエディトリアル写真の質感。
【構図と視線】
左上から右下へ、立つ・見る・動く・飛ぶという小さな時間の流れを作る。どのコマも切れていない鳥の顔と主要な動作が分かる。白い仕切り幅をそろえ、外周にもわずかな余白を持たせる。
【タイポグラフィ】
文字、コマ番号、日時、SNSアイコン、ロゴを入れない。
【視覚言語】
camera roll, contact sheet, visual diary, event recap. イベント後のSNSや体験の振り返りで、モチーフの多様な瞬間を伝える。
【禁止事項】
9コマ以外、1コマだけ拡大する構成、緑のマスコット、架空の開催情報、鳥の異様な変形、余分な脚や翼、同一写真の複製、巨大な装飾文字。
9コマの大きさをそろえ、静止と動きに変化をつけました。主役の羽色や顔つきが通して似ているかを確かめると、シリーズとしてのまとまりを判断しやすくなります。
画像生成AIのプロンプト設計に関する公式ガイドと研究
OpenAIの画像プロンプトガイドは、作りたい画像の用途と被写体に加え、構図・画風・制約を明記するよう勧めています。編集では変える部分と残す部分を分けます。参考画像が複数あるときは、それぞれの役割も指定します。図1では元写真を被写体に、もう一枚を上下構成の参照に分けました。図4と図5も、写真とデザインの参照を分けています。
2026年9月8日に発表されたChatGPT Images 2.5では、OpenAIが参照写真の被写体保持や部分編集の改善を紹介しています。修正を重ねた際の一貫性も改善したと発表しています。この記事の作例で使った画像生成機能は、画面から内部のモデル名を確認できなかったため、その製品の性能を検証した結果とは扱いません。
評価研究にも、制作物を見る手がかりがあります。ImgEdit(NeurIPS 2025)が提案したImgEdit-Benchは、指示に沿って編集できたか、編集後の質はどうか、細部を保てたかを別々に評価します。図1なら「上下を二等分できたか」と「写真の鳥や風景を保てたか」を分けて見ます。UniRef-Image-Edit(2026年の査読前論文)は、複数の参照画像の整合性を研究対象にしています。役割の異なる画像を一度に渡す図1、図4、図5を確認する際の背景になります。
画像内の文字について、自然言語処理の国際会議で発表されたSTRICT(EMNLP 2025)は、文字の正確さ、読みやすさ、指示への追従を測る評価手法です。今回の日本語ポスターを直接評価した研究ではありませんが、図4の短い見出しも完成画像で読み直す判断につながります。日時や会場名などの確定情報は、別の組版工程で確認してから加えます。
イベントの告知・展示・SNSで使い分ける
画像を作る前に、何を残すか、何を変えるか、どの媒体で使うかを決めます。告知向けの図4では見出しの読みやすさを、SNS向けの図5では9コマを通した鳥の姿の一貫性を確かめました。用途が変われば、完成画像で重点的に確認する箇所も変わります。
イベントでのAI活用を別の角度から考える際は、IMEX America 2025のAI字幕活用もご覧ください。
補足と出典
参照資料は、2026年9月25日に内容とリンク先を確認しました。研究で評価したモデルとこの記事の作例は異なります。研究結果を作例の性能評価として扱わず、仕上がりを確かめる視点として紹介しています。資料の一覧は記事末尾の「出典・参考資料」にまとめました。